まちのお花屋さんから夫婦で販路拡大
商いへの想いも次世代へ
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- 小売・卸売業
- 湖南地域
昭和47年に現社長の丈達二三子さんが生花店として創業。夫の宏さんも定年を機に会長として経営に加わり、スーパーやホームセンターに向けて、切り花の委託販売・卸売業をスタートしました。今では滋賀県を中心に近畿エリアの約40店舗と取引を行っています。
創業51周年を迎えた現在、従業員への事業承継に向けて準備を進めています。
Interview
現経営者事業承継の相談にいたった背景について教えてください
創業50周年を迎えるにあたって、会社の今後をどうするかを真剣に考え始めました。50年かけて培ってきたこの事業と従業員、顧客をなんとか引継いでもらいたいというのが私たちの願いでした。
いろいろな選択肢がある中で、さまざまな意見を聞くために地元金融機関である滋賀中央信用金庫に相談したところ、滋賀県事業承継・引継ぎ支援センターを紹介していただきました。サラリーマンをしている息子とも話し合って、センターで本格的に相談することにしました。
事業の譲渡が決まって、どのような心境ですか?
単なる花の小売店から脱却するため、スーパーなどをまわってプレゼンテーションを行い、苦労して今の販路を開拓してきたので、私たち二人はなんとかこのビジネスを残したいという強い想いを抱いていました。その苦労を共にして働いてきた従業員に事業を継いでもらえることは、本当にありがたく嬉しい気持ちです。
50年続けてきた“じょうたつ”の名前と、多くのお客様との間で培ってきた信頼関係を残せることになり本当に良かったと思っています。経営者は代わっても、地域に愛され、お客様に信頼されてきた”じょうたつ”の商いの基本や心構えは受け継いでいってほしいと思っています。
これまでの事業承継の準備を振り返っていかがですか?
今回、税理士さんや金融機関、センターの方と一緒に、販路や経営状況、設備などを見直し、事業計画に合わせて事業承継計画を作成し、承継を進めたことが良かったと思います。引継いでもらうからには、経営基盤の強化に責任をもって取り組まなければいけないという思いを抱きながら、事業承継計画書を策定し、順調に承継を進めていくことができて安堵しています。あの特センターに相談していなかったら、ここまで来ることはできなかったですね。
今後への想いをお聞かせください
これから承継に向けて新規設備や人材確保に取り組み、さらなる経営の健全化を図って、計画書に掲げた目標を少しでも早く達成できるようにしたいと考えています。
私たちと同じように後継者が不在だったり、事業承継を考えている経営者の方は、自分一人で抱え込んだり、家族だけで解決しようとせずに、できるだけ色々な方々に自身の想いや課題をオープンに話して、意見をもらって結論を出すようにしてほしいと思います。
Interview
後継者事業承継の相談を受けた時、どのように感じましたか?
特に迷ったり悩んだりすることはありませんでした。以前、生花店を経営していたので、経営者になることにそれほど不安は感じませんでした。
会社は今フルパワーで動いていて、取引先もたくさんあって、それを止めるわけにはいかないため、「ゆくゆくは誰かが」という気持ちがありました。むしろ、きっちりした形で事業承継して、会社を存続できるということが決まって安堵しています。
事業承継の準備は大変に感じますか?
自分たちだけでは事業承継を進めることはできなかったと思います。センターに相談したことで、専門家にきちんと数字など経営状況を把握した計画書を策定していただき、私の考えもしっかり聞いてもらえたおかげで、スムーズに進めることができたと思います。
日常業務をこなしながら事業承継のことを考えることは困難だったので、自分たちは業務に専念して、専門家や金融機関の方々に承継の準備を支援してもらえたのは心強かったです。
今後はどのようなことに取組んでいきたいですか?
基本は今の延長でやっていくと思いますが、まだ取引先が増えそうなので、物量と人手の問題をどう解決していくかが課題です。さらに経費も仕入れ価格があがっているので、少しでも経費を抑える方策が必要になります。
その中で、社員のみなさんの幸福や満足を追求していくために、やるべきことはたくさんあります。そのためにも、今私がやっている仕事を補佐してくれる人材を育てていかなければと思っています。確かに責任は重くなりますが、あまり肩肘張らずに、仕事全体の流れを押さえていくようにしたいと思います。
支援員からのメッセージ
当初、地元金融機関である滋賀中央信用金庫様から声が掛かり、滋賀県事業承継・引継ぎ支援センターと共に、3年後の従業員承継へ向けた事業承継計画の策定支援を行うことになり、私ども顧問税理士が専門家として支援させていただきました。現経営者・後継者・金融機関・センター・専門家がみんなで力を合せて計画策定が出来たと思います。
策定後1年が経過しましたが、計画通り順調に業況・準備ともに進んでいます。私ども顧問税理士としても、この計画を基本に引続き支援してまいります。
(専門家大辻税理士法人白井衣里氏)